東京都市大学(旧武蔵工業大学) シミュレーション演習

平成15年9月から1月にかけて東京都市大学(旧武蔵工業大学) 工学部 システム情報工学科 (山本尚生教授、宇谷明秀助教授)で実施されたシミュレーション演習の授業でOPNET Modelerが使用されました。

Modelerのグラフィカルなインタフェースやネットワークシミュレーターとしてのパワフルな機能を使用し、目で見ることのできない通信をイメージ、確認することに役立ちました。

各講義は、前半にネットワークの基礎知識に関する講義が行われ、後半では受講生自らがその内容をネットワークシミュレーションにて、実験・確認するという構成で行なわれました。


第1回目の前半はインターネットの現状とこれからの講義に必要な通信の基礎知識の説明を行いました。後半はこれから演習で使用するOPNET Modelerの操作に慣れるため、Modelerの紹介や操作演習を行いました。


第2回目の前半はLANの考え方とEthernetの概論を行い、後半はShared-HUBとスイッチを使用したネットワークの性能比較を行い、コリジョンの発生をグラフにて確認しました。


第3回目の前半はIPプロトコルの概要説明を行い、後半ではIPアドレスの付与およびスタティックルーティングの設定を行い、データの転送経路をアニメーション機能を使って確認しました。


第4回目の前半はトランスポート層(UDPとTCP)の概要を説明し、後半では伝送品質劣化時におけるTCPとUDPの特性の違いをデータ統計機能とグラフ表示機能を使って確認しました。


第5回、第6回は受講生自からネットワーク性能改善課題にチャレンジしました。課題はアプリケーションの応答時間に問題のあるネットワークの改善案を検討、シミュレーションでその効果を予測し、提案するという内容です。
最後はグループごとに検討内容を発表し意見交換を行いました。

上図が演習課題の例です。ネットワークは4つの拠点で構成され、それぞれのサイトの従業員がサイト1に設置してあるサーバーにアクセスし、業務を行っていることとしました。APのレスポンスは、80秒を超え、業務をこなすには遅すぎる状況です。第1回から第4回までに習得したネットワークの基礎知識とOPNETの機能を駆使してこのネットワークの改善案を提案し、その結果をプレゼンテーションします。


山本教授のコメント

この演習科目では、ネットワークシミュレーション技術の習得と言うよりも、通信やコンピュータネットワークに関する基礎知識を持たない学生を対象に、短期間(半期)の授業でMACプロトコルの例からTCP/IPまでを体験的に理解させることを目標としました。実際のルーターやサーバを用いた実験環境ではどうしてもハードウエア操作法の習得や、モデルネットワーク規模の制限が大きくなります。また設備的にも多人数の演習には無理があり、コンピュータネットワークの仕組みを理解するという本来の目的に使える時間が十分に取れません。OPNET Modelerを用いると、その優れたGUIにより、イメージのつかみ難いネットワークの構成やパケットの流れを直感的に理解できますし、ルーティングテーブルの作成などもかなりのリアリティーをもって体験できます。プロトコルスタックの概念を持っていなかった学生も短期間にネットワークの基本動作を理解し、性能改善の課題に取り組めるまでになりました。OPNET Modelerのもつ教育ツールとしての可能性を今後とも引き出して行きたいと考えています。